健康レッドミート(赤身牛肉)の愛好者を増やす運動をはじめようとの考えにもとづき、第一回の試食会への参加を案内する次のような呼びかけとチラシが、2009年7月に七尾清彦の名で出されました。これは、七尾ほか数名の賛同者の間での数カ月に及ぶ意見交換を踏まえてのものでした。
その過程で、七尾ほか数名は8月初め、関係者のご協力を得て岩手県を訪問し、日本短角牛の畜産の実情を見学いたしました。日本短角種は4種類ある和牛のひとつで、赤ベこと愛称された東北伝統の南部牛と英国の肉用種であるショートホーン種を明治時代に掛け合わせて、その後も品種改良されてきたものでおいしい赤身肉を産します。
このような呼びかけを受けて約30名が応じ、第一回試食会は、8月26日、滋賀県大津市堅田のレストラン「セカンドハウス」で開催されました。
以下は、
です。第一回試食会では、今後、数カ月単位のペースで試食会を開催して行こうということになり、今回発足したグループの仮の名称を「エコ・ミーターズ(EcoMeaters)」とすることにいたしました。EcoMeaters の理念はつぎの通りです。
Eat Country Organics, Make Eco Agriculture Thrive & Enjoy Rural Settings
皆さまへ
東近江での田舎住まいも早や一年となりました。農村社会の人たちは精イッパイがんばっていますが、増大する休耕田・耕作放棄田は雑草がはびこり野猿、シカ、イノシシなどの遊び場と化しています。農村の若者が農業から離れていく傾向も依然続いています。「田園まさに荒れなんとす」です。
農をナリワイとして育った今のシルバー世代が元気な内に、何とかしなければとの思いがつのります。そのための一策として、これらの遊休農地や隣接林地を利用した放牧型草食肉用牛の畜産を振興できないかと考えるに至っています。
将来ある若者が生涯を賭けてこのような畜産に挑戦するためには、放牧牛から取れる赤身肉(レッドミート)の愛好者を増やして、経営の見込みが立つようにしてやることが先決です。そんなことで赤身肉の試食会を向こう6か月ないし1年くらいかけて、何回か地道に開催し新規需要層を開拓していこうという段階に入っています。
輸入濃厚飼料多投により生産される霜降り肉への人気は根強いものがあり、「エコな牛肉」の前途は決して楽観できませんが、消費者にも、生産者にも、田園の自然環境保全にも、そして国家の自給率維持のためにも、良いことがたくさん期待できます。米国では、コロラド産の草食レッドミートは低脂肪肉(lean meat)として他の牛肉 よりも市場では高い値段で取引されています。日本もそちらの方向に向かうことは間違いないものと思います。スイスでは放牧されているスイスブラウン種の牛たちを、丘陵に置いてある「タンパク源の当座預金」だとして食の安全保障の観点から大事にしています。
時間のかかる長い道のりではありますが、その第一歩として企画しました今回の試食ランチの意のあるところをご理解いただければ望外の幸せです。需要の掘り起こしには、口コミパワーが何よりも大事だと申します。今回の小規模な第一回会合へのお誘いを貴方様に差し上げましたのは、貴殿の社会への影響力、伝播力に期待してのことでございます。また、口こみ作戦には、食と台所を預かる女性の力が成否のカギを握っていると申しても過言ではありません。
ご参加をご検討いただくにあたりましては、奥様方などのご参加もぜひお考えください。奥様だけのご参加ももちろん歓迎です。添付のチラシをご家族の皆様などにもお見せいただければ幸いです。(今回はご都合がつかないので欠席するが今後、第二弾、第三弾の企画が続く場合は出席を考えようとのお方はその旨お手数ですがご連絡ください。今後のご案内を差し上げます。)
例年になくの長梅雨ですが、貴台のご健勝をお祈りいたします。
2009.7 七尾 清彦
琵琶湖畔に臨む白が基調のしゃれたイタリアンレストランに顔をそろえた30人。興味津々の共通の思いは「はてさて、レッドミートなるお味は?」であった。8月26日、草食牛レッドミート&地野菜をエンジョイしようを呼びかけた七尾ほかによる初のEcoMeatersランチの集いが開かれ、多士済々の顔ぶれがそろった。主唱者七尾ほかの努力、そしてなによりも草食牛普及への熱い思いに惹かれたから。トマトと茄子をベースに冷たいスパゲッティの前菜を味わいながら主唱者の「増やせ、レッドミート愛好家」「励まそう、レッドミート生産農家」「仲良くしよう、田園社会」の三つの目標に皆が耳を傾ける。このスローガンにぴったりのゲストとして、主唱者がセカンドライフの拠点にした日野町から、牛とともに少年時代を過ごした農家出身の浦田一郎さん、さらに個人として参加された滋賀県畜産技術振興センターの藤田雅彦さんが「人と牛とのかかわり」などをエピソードを交えて紹介した。
各テーブルで話が弾み、食がすすんだところでいよいよメーンのレッドミートが運ばれる。岩手・岩泉から取り寄せられた「いわて短角和牛」のサーロインは、思っていたよりもやわらかく、ジューシーで、あっという間にみんなの胃袋におさまった。霜降り肉に食べ慣れている人には、とろけるような舌の感触こそないが、かめばかむほどうまみがじんわりと口いっぱいに広がる。たっぷり満喫した面々からは「お肉はどうやって買えるの」「この会でいっそ、短角牛を飼えば」などいろいろな声が飛び出し、和気あいあいの初の会合はお開きに。主唱者は「肩肘張らず、レッドミート愛好の輪が広がれば、それで結構。形式や規則にこだわらずにEcoMeatersを大事に育てて生きたい」と夢を語った。